落石岬(おちいしみさき)とは
落石岬は北海道根室市、根室半島の付け根に位置する太平洋に突き出した断崖の岬です。
観光ガイドブックでも大きく取り上げられることはあまりないですが、切り立った台地に広がる景色に鹿の群れ、風や波、鳥の声だけが響くその空間は、まさに“秘岬”と呼ぶにふさわしい場所。
石狩市の「雄冬岬」、室蘭市の「地球岬」と並んで北海道三大秘岬の一つと言われています。
「おちいし」の語源は、アイヌ語の 「オㇰチㇱ(ok-chis)」(うなじ-くぼみ)。
落石岬灯台
アカエゾマツの林の中を真っすぐ通る木道を歩いていくと、一気に広がる草原と太平洋の大海原、そしてコンクリート造りの白地に赤帯が入った目立つ外観の灯台が遠くに現れます。
この落石岬灯台は、「日本の灯台50選」にも選定されています。
根室フットパス 落石シーサイドウェイ おちいし岬パス
フットパスとは
落石岬全体は「フットパス」に指定されています。
フットパスとは、イギリスを発祥とする「森林や田園地帯、古い街並みなど地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くこと【Foot】ができる小径(こみち)【Path】」のことです。
参考:日本フットパス協会
おちいし岬パス
「根室フットパス」には、色々なコースがありますが、歩くには事前に該当地域のルートマップを購入して携帯するのがルール。いわばこれが通行証という位置づけになっています。
※一部サイトに「なくても大丈夫」と書かれていたりしますが、購入費が維持管理に充てられたりするので必ず購入しましょう。
ちなみに、一度購入すれば有効期限なくずっと使えます。
ルートマップは以下で購入できます。
・根室観光インフォメーションセンター(観光協会)
・道の駅スワン44ねむろ
・根室石油(株)落石給油所
・落石漁業協同組合
私は根室石油・落石給油所で「落石シーサイドウェイ おちいし岬パス」のマップを購入。1部200円でした。

購入すると日付の検印を押してくれます。
さぁ、これで落石岬への準備は整いました。と、その前に注意事項の確認。
注意事項
・ヒグマの生息域なので、音を出しながら等最大限の注意を払う
→地元の方に聞いたところ、林のどこかに住んでいるそうです
※私が訪れた1か月後くらいにヒグマの目撃情報があり、立ち入り禁止になっていた期間もあるようです。
・ゴミは必ず持ち帰る
・野生の動植物に影響を与えない
・火気の取扱いに注意する
・気象条件の変化、野生動物に十分注意する
→風の強い日は切り立った台地で遮るものがないので影響大
→海務が発生すると道がわからなくなる
・崖に近づきすぎないようにする
→高さ50mくらいあるので落ちたら助からない
落石岬散策
ゲート前の砂利道に車を停めて、熊鈴とスマホで音を出しながらいざ出発!
と張り切りましたが時間は既に14:00過ぎ、しかも小雨がパラつく生憎のお天気で人の気配は全くありません。

徒歩25分なら早足でいけば20分くらいで行けるかな?と思って颯爽と歩きだす。相変わらずの小雨ですが、傘をさす程ではなく涼しくて丁度いい。

不思議な建物と碑が立っている。
落石無線送信所跡とありました。
「グラーフ・ツェッペリン」号(ツェッペリン伯号)と交信したり、リンドバーグ大佐の太平洋横断飛行との通信に一役買ったりした歴史ある無線施設跡。
現在は、池田良二氏のアトリエになっているようです。

木道の入り口、足元注意の看板がリアルに思えるほどの木道。
ここを進んで行くんですね。

いやいや、想像以上に鬱蒼とした林の中をまっすぐ木道が続いています。
木道自体、所々朽ちている場所もあり、早足で歩くのは無理そうです。足元注意ですね。

林を抜けると開けた草原が見える、木道の左右には有刺鉄線が張ってありました。動物避けでしょうか。
木道の先には再び林が見える。
林は雰囲気あって良い感じですが、熊がどこかにいると聞いていたので少々ビクビクです。

二つ目の林を抜けると、落石岬の看板と奥に赤いラインが見える灯台。
林を抜けるまでは小雨がパラついたいましたが、雨もあがって散策には丁度良い。
でも、人はいない。

今来た道を振り返る。
やっぱり鬱蒼とした林でした。

無事灯台につきました。
「落石岬灯台」の文字の上下の赤い花の絵柄は、日本では落石岬の湿原・アカエゾマツ林のみに咲く「サカイツツジ」。この周辺は、国指定の天然記念物「落石岬のサカイツツジ自生地」で、5月下旬~6月上旬が見頃とのこと。
ここで初めて人がいました。
黙々と外壁を工事している方でした。
灯台にカメラを向けると、工事を中断して壁から離れてくれるお気遣いに感謝です。

切り立った崖が延々と続く。
北海道の海らしい風景に感じましたが、これは転げ落ちたらひとたまりもありませんね。
その時、ふと灯台を振り返ると奇跡的に日が差して、綺麗な虹が広がっていました。

工事をしていた人に挨拶をして、一緒に「綺麗ですね~!」としばし一緒に眺め、その方もスマホで写真を撮っていました。こういう記憶はずっと残ります。落石岬最高!
虹はほんの10分も経たずに姿を消していきました。

灯台を後にして、岬の先端に行こうと歩みをすすめます。
草原と雲と海が良い感じで赤が映えます。

筋に見えているのがフットパスの道ですが、このような窪地を降りていって、登ってというのが何か所もあります。
そして、岬の先端に行こうと半分くらい進んだ時点で、このまま岬まで歩くと時間的に帰りは薄暗い中を歩く羽目になりそうなので、泣く泣く引き返しました。

所々に鹿の群れがいたり、写真のように親子で歩いている鹿も見かけました。
先端まで行けなかった私を見て、「また次回来てねと」言っているような雰囲気で見送られました。
まとめ
落石岬は、北海道に住んでいる方に聞いてもほとんどの方が聞いたこともないと言っていたマイナーな場所ですが、林を抜けると広がる景色、切り立った崖の先に広がる海、雰囲気ある灯台、人もほとんどいないので、まさに秘岬。そして何より、訪れた瞬間に広がった虹に感動した素敵な場所でした。
次回は、岬の先端まで行って今回見られなかった景色に出会いたいと思います。
【2023年9月7日訪問】
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