瀬戸港から池島へ移動
フェリーかしま

瀬戸港から池島へ連れていってくれる船は「フェリーかしま」。
一見、年季の入ったフェリーにも見えますが、2004年からの運航なので、この船も活気のあった在りし日の池島の姿は見ていないようです。

10:15の出航時間が近づいても、ほとんど人が見当たらない。
買い物帰りなのか、カートから長ネギが飛び出しているおばあちゃんが一人目に入りました。車は池島での移動販売車が慣れた雰囲気で乗船。

だーれもいない。
出航する間際におじさんが二人ほど着席していましたが、これが日常の風景なんでしょうね。先ほどの長ネギおばあちゃんの姿がない。えっ、どこいった?

出航してすぐ見える大きな島が「松島」。
現在の三井松島産業発祥の地。1981年に電源開発が火力発電の運転を開始し、日本初の輸入炭を利用した発電所ですが、閉山まで池島の石炭も利用されていました。

池島港の湾内。
かつては「鏡ヶ池」と呼ばれ、神功皇后(じんぐうこうごう)が三韓征伐からお帰りの際に立ち寄られ、水面に姿を映したことからそう呼ばれていたそうです。池島の名前の由来ともなっていて、現在の港湾は石炭積み出しの為に整備されたもの。
炭鉱で採掘された石炭を船に積み込むために使用される機器「トリンマー」が寂しそうにお出迎え。
池島につくと先ほどの長ネギが飛び出しているおばあちゃんは、いの一番に下船されておりました。どうやら船室に上がる階段が急だったので下にいたようです。
炭鉱ガイド
下船するとすぐに体験コースのガイドさんと合流です。
徒歩で池島炭鉱倶楽部がある建物まで移動するとありましたが、この日の参加者が少人数だったからなのかガイドさんのワンボックスカーで移動。

物悲しさを醸し出している「浮きオブジェ」の歓迎を受けました。
池島炭鉱倶楽部到着後は「料金の支払い」⇒「池島炭鉱の歴史についてのビデオ鑑賞(20分)」⇒「お昼」⇒「ヘルメットとキャップランプを借り」⇒「坑外トロッコ電車停留所」⇒トロッコにて入坑⇒「水平坑道奥部電車停留所」と移動します。

ここにも「浮きオブジェ」。流行っているのでしょうかね。
坑内体験


電動のトロッコ人車で水平坑道に入坑。
ギコギコと無骨な音と揺れ、雰囲気があって楽しい。
以前は、自転車のように自力で漕ぐタイプのトロッコ人車だったそうですが、不評だったので電動にバージョンアップしたそうです。それはそうですよね。疲れますよね。。。

トロッコ人車を下車すると、石炭や捨石(ボタ)の話、工具や備品について説明してくれました。ボタなんて単語や石炭が想像していたよりもずっと軽いということを初めて知りました。
坑内体験は、お土産に石炭を一かけらもらえます。

水平坑道は閉山後、炭鉱技術海外移転事業の研修施設として使われていたので、ここでの技術は海外でも活かされているそうです。(現在は移転事業も終了し、使われていない)

発破を使用しないで掘削を行う自由断面トンネル掘削機、ロードヘッダー。
採掘機器の大きさや雰囲気に圧倒されました。

石炭を写真のサンプルのように切り取るドラムカッター(炭層掘削機)
このドラムカッターはスイッチを入れると動きます。
池島炭鉱では、極力新しい機器を導入し効率的な採炭を行うような体制になっていたようです。
これらのデカイ機器は、そのまま坑内に搬入することはできないので、地上で組み立ての練習をしてから、バラバラにして搬入、坑内で組み立てて使っていたそうです。想像しただけで、気が遠くなる。。。

圧縮空気を用いて穴を開けるエアー式穿孔機。
ハッパを仕掛けるのに使用。
これはマスクを貸りて着用し、実際に動かしての模擬体験ができました。
振動がすごくて手が痺れます。

壁には小学生の書いた習字やポスターが貼られていました。
実際には、「安全」よりも「保安」という言葉がよく使われていたそうです。

池島炭鉱の第一斜坑。
写真で見ると水平ですが、実際には斜坑になっていて、正面が空、背面は地下の坑内へとつながっています。
これ以外にも、炭鉱内の区画についてや、通信設備や安全設備、動画を使った発破についてなどの説明もして頂きました。
帰りもトロッコ人車に乗って戻ります。足漕ぎじゃなくて良かった。(笑)
感想
現在進行形で廃墟化が進んでいる、九州最後の炭鉱であった池島。
ガイドさんと一緒に実際に炭鉱の中に入って、実際に体験しながら説明を聞けるのはとっても良い!
参加者が少人数だったので、ガイドさんにも自由に質問できました。
私は廃墟マニアではないですが、ここは人にすすめられる面白さです。
この後、池島炭鉱倶楽部に戻ると、「池島島内見学コース」のガイドさんにバトンタッチとなり、徒歩で島内を散策しました。
【2016年12月12日訪問】
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