
ソメイヨシノとは
桜といえばソメイヨシノ、漢字で書くと染井吉野。
今では一番目にする桜だと思いますが、実はこれ挿し木で作られた桜なんですよね。いわばクローン。
染井村の「ソメイ」と吉野桜の「ヨシノ」を合わせて「ソメイヨシノ」。
所説ありますが、江戸末期に植木職人がエドヒガン系の桜とオオシマザクラを交配して作ったのがここ染井(村)。当初は奈良吉野山にちなんで吉野桜としたそうですが、明治時代に藤野寄命(ふじのよりなが)博士が吉野山に多いヤマザクラとの混同を避ける為、村の名前をとって染井吉野(ソメイヨシノ)として発表したそうです。
なので、駒込駅北口にある「染井吉野桜記念公園」には「染井吉野櫻発祥之里 駒込」という碑があります。

訪れた日は生憎の曇天でしたが、散歩するにはちょうど良い。にゃんこもお花見しながら目を細めています。

パッと見、普通の町内の桜ですが、「染井吉野の故郷」ということを思うだけで、何か違った歴史的、文化的な趣を感じざるをえません。(笑)

染井稲荷神社。「染井」という名前は、その昔、泉があったからという由来があるそうですが、それがどこだったかは不明。もしかするとこの神社にあったのかもしれないですよね。

「染井よしの桜の里公園」
発祥の地となれば、そりゃーこういう公園のひとつもないといけません。分譲マンションの売り文句にも使われていましたからね。(笑)
染井霊園の桜

ほどなくすると染井霊園に到着です。
ここは都内8カ所にある都営霊園の中では一番こじんまりしているそうですが、約100本のソメイヨシノが春になると花を咲かせます。

満開を過ぎて散り始めでしたが、こういう桜の花と幹の散り桜も好きです。

お花見で散策する人も多く、中にはこのように、堂々と仁王立ちで桜と向き合う御仁もいましたよ。

霊園に桜って何故か似合いますよね。
「桜の樹の下には屍体が埋まっている。」というのは、ある意味当たっていますよね。
駅からもそんなに遠くないので、お花見散歩には丁度良い。

散策する人、レジャーシートを広げてお花見を楽しむ人。三者三様、十人十色の楽しみ方があるのが桜のいいところですよね。おやっ、ハイカラさん発見。

咲いても綺麗、散ってもまた綺麗。

染井霊園を訪れるのは二度目。前回は数年前の晴れた日でした。

お墓参りに来ている人達に対して、「お邪魔しています」という感じで、どこか断りをいれてる気分で花見を楽しむ。


いつまでも変わらない風景って感じですよね。
こういう所に眠っている人たちも、春の満開の桜はきっと楽しみでしょうね。

旧染井村、ソメイヨシノの故郷を歩いて、満開のソメイヨシノを堪能するのは良きかな良きかな。
染井霊園の桜
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 染井霊園(そめいれいえん)の桜 |
桜の種類 | ソメイヨシノ |
樹齢 | - |
オススメ度(5段階) | ★★★★ |
一言 | ソメイヨシノ(染井吉野)発祥の地 |
例年の見頃 | 3月下旬 |
撮影日 | 2009年4月4日 2017年4月8日 |
所在地 | 東京都豊島区駒込5丁目5−1 |
アクセス | JR線、都営地下鉄三田線 巣鴨駅 徒歩10分 JR線、東京メトロ南北線 駒込駅 徒歩12分 |
駐車場/トイレ | 駐車場無・トイレ有 |
その他 | |
参考URL | 豊島区桜の名所 |
染井霊園の桜 故人とのお花見
春の風に誘われて、私は染井霊園を訪れた。
ここはソメイヨシノ発祥の地。
歴史に名を刻んだ人々も、名もなき誰かも、同じようにこの桜の下で眠っている。
満開の桜が、墓石のひとつひとつにやわらかな影を落としていた。
私は手にした花束を、祖父母の墓前にそっと供える。
ふと顔を上げると、どこかから子どもたちの笑い声が聞こえた。
お線香の静かに揺れる煙とともに、家族が墓前に集まっている。
「また、今年も一緒に桜が見られたね。」
誰かがそう言った。
きっと、眠る人々も、この満開の桜を見上げ、微笑んでいるのだろう。
ここでは、別れも哀しみも、春の光に溶けていた。
私は目を閉じた。
花びらがひとひら、頬に触れる。
春は、故人と生きる者、変わらず同じに包み込んでいた。
また来年、ここで会おう。
そう、小さく心の中で約束した。
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