鳥取県南部町の高原に、のどかな田畑を見渡すように立つ「田住の一本桜」
満開を少し過ぎた春の日、風に花びらが舞う桜の下で、真新しいランドセルを背負った女の子と出会いました。
この記事では、田住の一本桜が見せる高原の風景と基本情報、そして旅先で心に残った小さな春の門出を紹介します。
田住の一本桜
近くを通りがかったついでに立ち寄りました。
残念ながら満開は過ぎてしまっていたので、茶色い葉がだいぶ顔を覗かせていましたが、高原を眺めるように佇むその姿には、どこか優しい存在感がありました。
時折地元の方達が来ては写真を撮って楽しんでいたり、遠目から大山と桜を撮影しているカメラマンがいたりと、思い思いに楽しんでいる様子で、のどかで心地よい時間が過ごせる桜でした。

田住の一本桜 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 田住(たすみ)の一本桜 |
| 桜の種類 | ヤマザクラ |
| 推定樹齢 | 不明 |
| オススメ度(5段階) | ★★★ |
| 一言 | パッチワークの田畑に佇む優しい存在感 |
| 例年の見頃 | 3月下旬 |
| 撮影日 | 2023年3月下旬 |
| 所在地 | 鳥取県西伯郡南部町田住 |
| アクセス | 米子自動車道 溝口ICから約15分 米子市内から約15分 |
| 駐車場/トイレ | 駐車場無・トイレ無 |
| その他 | ・ライトアップ:無 ・桜周辺の道路は狭く、時折農作業をしている方の車が通ります |
| 参考URL | 南部町観光協会 |



思い出:小さな春の門出
春の高原に咲く一本桜のもとで、私はカメラを構えていた。
少し風が吹くと、花びらが静かに舞い落ちる。そんな穏やかな時間のなか、遠くから子どもたちの笑い声が近づいてきた。
子どもたちは、しばらく桜の木の下で賑やかに遊んでいた。やがて、お母さんらしき女性が私のところへ歩いてきて、
「シャッターを押していただけますか?」
と声をかけてきた。
私はスマホを受け取り、家族の集合写真を撮った。
ふと見ると、一人の女の子が真新しいランドセルを背負っていた。
「この春から一年生なんです」
お母さんが少し照れたように微笑む。女の子は桜の木の下で、真新しいランドセルを誇らしげに見せてくれた。
「よかったら、記念に桜とランドセルの姿も撮りましょうか」
そう声をかけると、お母さんは、
「ぜひお願いします」
と嬉しそうに答えた。
ランドセルがよく見えるよう、女の子にいくつかポーズをとってもらいながら写真を撮った。そのたびに、花のように輝く笑顔を見せてくれた。
撮影を終えると、お母さんは何度も「ありがとうございます」と頭を下げ、女の子は笑顔で手を振ってくれた。
私はあたたかい気持ちのまま、深く息を吸って空を見上げた。
満開を少し過ぎた田住の一本桜と、新しい季節を迎えた女の子の笑顔。
その景色は今も、私の胸の中にやさしく咲いている。

