福島県三春町。
梅・桃・桜の3種類の花が一時に咲き誇り、「三つの春が同時に訪れる」ことにちなんでつけられた町。その素敵な名前の町の象徴が三春滝桜です。「三春の滝桜」、単に「滝桜」とも呼ばれています。
毎年30万人以上の人たちが訪れる滝桜は、1922年(大正11年)10月12日に「山高神代ザクラ」(山梨県北杜市)、「根尾谷淡墨ザクラ」(岐阜県本巣市)、「石戸蒲ザクラ」(埼玉県北本市)、「狩宿の下馬ザクラ」(静岡県富士宮市)とともに「三春滝ザクラ」として国の天然記念物に指定されています。
ちなみに、この天然記念物に初めて指定された桜達が、日本三大桜(山高神代桜・根尾谷淡墨桜と並ぶ)、日本五大桜(三大桜に石戸蒲ザクラ・狩宿の下馬ザクラを加えたもの)です。
滝桜の名前の由来は「滝地区」にあるということと、四方に広げた枝から薄紅の花が流れ落ちる滝のように見えることからそう呼ばれています。
所在地が「三春町大字滝字桜久保」。
実際もすり鉢状の窪地に堂々と桜は咲いています。
三春滝桜
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | 三春滝桜(みはるたきざくら) |
桜の種類 | エドヒガン系ベニシダレ |
推定樹齢 | 1000年 |
オススメ度(5段階) | ★★★★★ |
一言 | 圧倒的な流れる美と迫力を兼ね揃えた1000年桜の代表。 |
例年の見頃 | 4月上旬~中旬 |
撮影日 | 2024年4月14日(直近の撮影日) |
所在地 | 福島県田村郡三春町滝桜久保296 |
アクセス | JR三春駅から臨時バス「滝桜号」で約20分 磐越自動車道 船引三春ICから7.3km 約20分郡山東ICから12.6km 約30分 ※満開時の土日に三春町運動公園から無料シャトルバス有 ※満開時の土日ライトアップ時のみ滝沢駅から無料シャトルバス有 |
駐車場/トイレ | 駐車場有・トイレ有 |
その他 | ・観桜料:500円(当日に限り再入場可能) ・ライトアップ:18:00〜21:00 ・混雑時は駐車場待ちの渋滞有 →三春町運動公園から無料シャトルバスが便利 |
参考URL | Find!三春 |


360度周って見ることができるので、後ろの丘に咲くソメイヨシノを被せて撮影。朝日が昇ってくる時間帯も夜桜も雰囲気が全く違って見えますが、どちらも華麗で威厳に満ちた姿は圧巻です。
2005年1月に大雪で枝が十数本折れる被害がありましたが、樹木医がよみがえらせる事業に協力し、現在も5年に一度定期的に周りに足場を組んで、保護・育成のための作業が行われています。
※上の写真はそれ以前の2001年4月に撮影

冬の姿。
葉も人も全くなく、大きな大きな桜がただ春を待つという姿も趣がありました。(2011年2月撮影)


2011年3月の東日本大震災では大きな被害はありませんでしたが、この年はライトアップやシャトルバスの運行は中止となり、例年よりかなり観光客も少ない状態でしたが、それでも滝桜はいつものように花を咲かせて人々を見つめていました。(2011年4月撮影)

現在は菜の花もあちこちに植えられ、黄色と緑の絨毯の上に、薄紅色の滝が流れるような姿が一層際立っています。

下から仰ぎ見ると本当に桜の滝のように見え、ここには桜の神様が宿っていそうです。

反対側の斜面からは菜の花畑の向こうに滝桜の姿を見ることができます。
違った角度から見ると別の桜のようです。

滝桜から斜面を上って北東方面を少し歩くと、大きくはないですが形の良い雰囲気のある枝垂れ桜が咲いていました。滝桜の近くに枝垂れ桜を見かけると滝桜の子孫樹なのかなと思ったりします。
実際に滝桜の周辺には数百本の子孫樹が分布しています。

すぐ傍には、立派な桜が咲いていました。
滝桜はすごい人ですが、徒歩5分のこの辺りは散策する人もまばらでのんびり桜を愛でることができました。

駐車場から滝桜までの道中は、様々な出店が集った大きなエリアがあったり、小さいお店がいくつか出ていて賑わっています。
みっつの春 三春3色ソフトクリーム(梅・桃・桜)、三春を感じる美味しさでした。

早朝に訪れた後は一旦滝桜を離れ、近くの桜巡りがおすすめです。
夜桜の時間帯になったら再び戻ってライトアップを楽しむ。
夕方の駐車場の混み具合が不明だったので、三春町運動公園に車を停めてシャトルバスで移動しました。一般車とは別ルートを通るのでかなり快適だったので、活用するのも大いにありです。
日没間際から徐々に暗くなっていき、ライトアップされた姿が色濃くなっていくのも素敵。写真の通り眺める人々もたくさんいましたよ。

菜の花越しの滝桜正面。
たくさんの人が交代で撮影したり楽しんでいました。
まとめ
どこか一本だけ桜を薦めるなら?
華麗さと威厳の両方を兼ね揃えた迫力のある古の桜。
1000年以上もたくさんの人々に愛されて、たくさんの人々の営みを眺め続けてきた桜。
私は、間違いなくここ「三春滝桜」を薦めます。死ぬまでに絶対1回は見る価値があると思います。
千年のまなざし
私は、ここに千年立っている。
春には花を咲かせ、夏には葉を茂らせ、秋には葉を落とし、冬には眠る。
そうして幾度も季節を越えてきた。
千年前、この地にはまだ人の家はなかった。
小さな祠だけがあり、旅人たちが道中の無事を祈って頭を垂れた。
やがて村ができ、子どもたちが私の下ではしゃぎ、
若者たちが恋を語り、大人たちが肩を並べて空を見上げた。
私は、すべてを見てきた。
生まれる命も、去っていく背中も、
誰にも気づかれぬ涙も、声を上げぬ笑顔も。
ある年、戦がきた。
炎に包まれた村の中で、誰かが私の根元に駆け寄り、
「どうか、残っていてくれ」と言った。
私は枝を広げ、その命をかばった。
次の春、私はまた咲いた。
時代は流れ、石造りの道ができ、人の服装も言葉も変わっていった。
だが、人が桜を見上げるそのまなざしだけは、変わらない。
命ある者が、何かを思い出すように私を見つめる。
私は、それを見届けてきた。
だから、今年も咲く。
また誰かが、私を見上げるために。
それが私の千年の役目なのだ。
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