人はなぜブルーインパルスに感動するのだろう

2026年10月10日、鴻巣市上空を整然と編隊飛行するブルーインパルス

2026年10月10日、鴻巣の花火大会でブルーインパルスの展示飛行を見てきました。

これまでにも何度か見ているのに、今回も飛ぶまでの期待からくるワクワク感や頭上を駆っていく姿、空に描かれた技術が織りなすアートに感動してしまった。

青と白の機体が編隊を組んで飛ぶ姿は文句なしに格好いい。あの音もいい。しかも、何機もの航空機が、あれほど近い距離を保ちながら飛んでいく。

見慣れるどころか、見るたびに驚かされる。
ただ、それだけではない気もする。

人はなぜ、ブルーインパルスを見ると感動するのだろう。
少なくとも、私はなぜこんなにも感動するのだろう。

ブルーインパルスとは

松島基地で撮影した、雲のそばを飛翔するブルーインパルスの編隊
2026年10月10日、鴻巣上空で6機のブルーインパルスがスモークを引いて上昇する

「創造への挑戦」を合言葉に、大空に「夢・感動」を描く、航空自衛隊のアクロバットチーム

出典:航空自衛隊ブルーインパルス

初めて見たブルーインパルス

松島基地で撮影したブルーインパルスの演目「コークスクリュー」。2機がスモークを引いて飛ぶ姿と観覧する人々
地上展示されたブルーインパルスのT-4、機番686、6番機。

ブルーインパルス自体を知ったのは、子供の頃だった。

と言っても、名前と青い飛行機でカッケーということだけで、アクロバットな飛行って実際何をどうするものなのかすら知らなかった。見る機会も全くなかったし、ニュースで流れたものを見た記憶もあまりなかった。

そんな私が実際にブルーインパルスを見るきっかけになったのは、2013年放送のTBSテレビのドラマ「空飛ぶ広報室」。

しかもリアルタイムではなく、何年も経ってからたまたま知り合いに勧められてAmazonプライムで見てからでした。

その後、実際に東松島夏祭り・松島基地航空祭に足を運び、初めて間近でブルーインパルスを見た。

写真や映像で見るのとは、まるで違った。

機体の美しさもさることながら、何機もの航空機が、まるで一つの機体であるかのように動いていく。ほんのわずかなずれも許されないであろう飛行を、目の前で当たり前のようにやってのける。空をキャンバスにして描画されていくアート。

一体どれほどの訓練を重ねれば、こんなことができるのだろう。

格好いいという気持ちと、ただただ感心する気持ち。

初めて見たときの感動は、今でもよく覚えている。

あの日、東京の空で

2020年5月29日、新型コロナ禍の東京の街並みの上を飛ぶブルーインパルス
コロナ禍の東京の空を飛ぶ7機のブルーインパルス

2020年5月、コロナ禍の東京でブルーインパルスが飛んだ。
新型コロナウイルスへの対応にあたる医療従事者への感謝と敬意を込めた展示飛行だった。

当時は外出もままならず、連日のニュースからは不安ばかりが伝わってきた。

そんな東京の空を、青と白の機体が飛んでいく。

それを見ながら、ふと病院で働く人たちのことを考えた。
この空を見上げている医療従事者もいるのだろう。きっと、勇気づけられている人もいるのではないか。

もちろん、実際のところはわからない。

でも、そんなことを思いながら見ていると、ブルーインパルスがいつもとは少し違って感じられた。

後で知ったことだが、航空自衛隊の公式動画でパイロットが「~励ましができればと思って、私たちのスモークに思いをこめて6機で飛んだつもりです」と語っていた。
この思いはきっと届いたであろうと。

あの日の東京の空は、今でも忘れられない。

みんなが見上げる空

2026年10月10日、鴻巣市で多くの人が見上げる空を飛ぶブルーインパルス

ブルーインパルスの展示飛行で、もう一つ好きな光景がある。

大勢の人が、一斉に空を見上げる姿だ。

飛行機が近づいてくると、皆が同じ方向の空を見上げる。
見知らぬ人同士が、「すごい!」と口走りながら同じ方向を向いている。

航空機が好きな人も、たまたま見に来た人もいるだろう。何度も見ている人もいれば、初めての人もいる。

みんなが何を感じているのかは、もちろんわからない。

ただ、そんな光景を見ると、私はなんだか嬉しくなる。

思えば、コロナ禍の東京でブルーインパルスを見たときも、自分だけではなく、どこかで同じ空を見上げている人たちのことを考えていた。

あのときの思いも、今につながっているのかもしれない。

そして、鴻巣の空へ

2026年10月10日、鴻巣市上空でブルーインパルスの機体が煙を引きながら大きく広がる

今回の鴻巣でも、ブルーインパルスは見事な飛行を見せてくれた。

もっとも、展示飛行は行けば必ず見られるというものでもない。
天候に左右されるし、予定どおり飛べるとは限らない。

そもそも展示飛行は、誰か(主催者)が企画して尽力してくれたからこそ実現するわけですし、パイロットや整備士をはじめ、どれだけ多くの人たちが準備に携わっているのだろう。

そう考えると、実際に見られたこと自体がありがたい。

今回もこうして見ることができた。
それだけでも、十分に嬉しい。


ブルーインパルスを見ると、私はなぜ感動するのだろう。

最初は、ただ格好いいからだと思っていた。
もちろん、今でも格好いい。それは間違いない。

でも、これまで見てきた空を思い返すと、どうやらそれだけではないらしい。

機体を見上げながら、飛ばしている人たちのことを考えたり、同じ空を見ている人たちのことを思ったり。

そんな思いが、いつの間にか増えていた。

ほかの人は、いったい何に感動しているのだろう。

そんなことも、少し気になる。

そして、またブルーインパルスを見る機会があれば、私はきっと空を見上げている。

2021年7月23日、東京オリンピックの日に色とりどりのスモークを引いて飛ぶブルーインパルス
松島基地で撮影した、ハート形のスモークを描くブルーインパルス