乙ヶ妻(おっかづま)のしだれ桜|山梨・甲府盆地を見下ろす一本桜

朝日が幹と枝の間から差し込み、垂れ下がる花を照らす乙ヶ妻のしだれ桜

乙ヶ妻のしだれ桜

山梨県山梨市牧丘町、甲府盆地を遠くに見下ろす小高い丘の上に立つ「乙ヶ妻のしだれ桜」。四方に広げた枝から淡いピンクの花を滝のように垂らす、美しい一本桜です。

乙ヶ妻のしだれ桜 基本情報

項目
内容
名称
乙ヶ妻のしだれ桜(おっかづまのしだれざくら)
桜の種類
シダレザクラ
推定樹齢
200年以上
オススメ度(5段階)
★★★★
一言
甲府盆地を見下ろす丘に咲く優美な一本桜
例年の見頃
4月上旬~中旬
撮影日
2019年4月上旬
所在地
山梨県山梨市牧丘町室伏3027番地1
アクセス
中央道
・勝沼ICから約30分
駐車場/トイレ
駐車場有・トイレ有(ライトアップ期間)
その他・ライトアップ:有
 時間:18:30~22:00
・市指定天然記念物
・個人所有の桜です。マナーを守って鑑賞しましょう。
参考URL
 山梨市観光協会

丘の上に咲く、優美なしだれ桜

乙ヶ妻のしだれ桜の魅力は、何といってもその美しい樹形です。
幹から四方に伸びた太い枝は、長い年月をかけて複雑な曲線を描き、その先から無数の花が垂れ下がります。

夜明け前の乙ヶ妻のしだれ桜。眼下には山梨の明かりが広がる

私が訪れた時は、まだ日の出にはかなり早い時間帯だったので夜景にぼんやりと樹形が浮かび上がっていました。古桜としては比較的若く樹勢も旺盛、支柱もなく、美しい樹形を保っています。

夜空の下、淡いピンクの花を枝いっぱいに咲かせる乙ヶ妻のしだれ桜

夜が明けるにつれ、黒いシルエットだった桜が、少しずつ淡いピンク色へと姿を変えていき、背後の林の緑が桜の色をいっそう引き立てています。

訪れた日の明け方は、20人ほどの方が撮影に来ていました。
少し残念だったのは、その中の4、5人のグループが、ずっと大きな声で話していたこと。まだ静かな早朝だったので、近隣の方々に迷惑にならないかと、こちらがハラハラしてしまいました。

柔らかな光に包まれる乙ヶ妻のしだれ桜と眼下の町並み

そして、夜から朝になるにつれ、柔らかい色合いの表情を見せてくれました。
同じ一本の桜でも、夜明け前と朝では、まるで別の木を見ているようです。

乙ヶ妻のしだれ桜の歴史と由来

この桜が立つ丘は「乙ヶ妻上の山」と呼ばれ、現地案内板によると、「眺望の最も富める処で秋葉さんと天神宮を祀る祠を存す」とありました。
※秋葉信仰で祀られる火伏せの神様

古くから地域の人々に親しまれてきた場所であり、桜そのものだけでなく、丘にも歴史が刻まれています。また、現在も地元の有志によって周辺の整備が続けられています。

各地の桜を見ていて思うのは、地元の方々のご厚意で素敵な桜を目にすることができるので、迷惑になるような行為には気をつけたいと改めて思いました。

「乙ヶ妻」という不思議な地名の由来

「乙ヶ妻」と書いて「おっかづま」。
初めて見た時、読めそうで微妙に読めない漢字でした。(笑)

江戸時代の地誌『甲斐国志』には、この地が「奥勝間(おつかつま)」と記されています。また、1724年(享保9年)の村明細帳には、すでに「乙ヶ妻」という地名が登場しています。

「奥勝間」が転じて「乙ヶ妻」になったという説もありますが、詳しい由来は分かっていません。
少し不思議な名前のこの土地には、古くから人々の暮らしがあり、今も美しい一本桜が立っています。

丘の上で淡いピンクの花を咲かせ、長い枝を垂らす乙ヶ妻のしだれ桜

日の出を迎えて少し経つと、ほとんどの方が帰っていき、時折独り占めできる時間もありました。

小高い丘の上に立ち、滝のように花を垂らす乙ヶ妻のしだれ桜

桜の写真を撮っている方がいました。
桜が手を振りながらポーズを決めているように見えました。

おわりに

乙ヶ妻のしだれ桜は、小高い丘の上で、風景に溶け込むように枝を広げ、静かに春を迎えています。これほど美しい桜が、集落を見下ろす小さな丘に立っているというのも、何とも素敵な光景でした。

山梨県の桜というと「山高神代桜」や「久遠寺のしだれ桜」、「わに塚の桜」が有名です。それらに比べると知名度は高くありませんが、乙ヶ妻のしだれ桜も、ぜひ訪れてほしい一本桜です。