泉屋の桜、愛宕地蔵の桜とおばあちゃん|静岡・川根本町の春

青空の下、民家の前で大きく枝を広げる泉屋の桜

泉屋の桜

泉屋の桜の由来

現地の案内板によると、かつて奈良間家の三代目がこの地で大きな雑貨商を営み、その屋号を「いづみ屋」と呼んでいました。

桜は、そのいづみ屋の庭先に植えられていたものです。

また、明治14年(1881年)1月2日には、いづみ屋がこの地に堀之内郵便局を開設したと記されています。堀之内郵便局は、後の徳山郵便局にあたります。

泉屋の桜は、商家の庭木としてだけでなく、地域の郵便の歴史とも関わりを持つ一本なのです。

項目
内容
名称
泉屋の桜(いずみやの桜)
桜の種類
ベニシダレザクラ
推定樹齢
200年以上
オススメ度(5段階)
★★★
一言
かつての商家『いづみ屋』と郵便局の歴史を伝え
る一本桜。
例年の見頃
4月上旬
撮影日
2025年4月上旬
所在地
静岡県榛原郡川根本町徳山975
アクセス
新東名高速
・島田金谷ICから約45分
駐車場/トイレ
駐車場無・トイレ無
その他・ライトアップ:無
参考URL
 –

泉屋の桜|集落に佇む樹齢200年余りのしだれ桜

青空の下、民家の前で大きく枝を広げる泉屋の桜

川根茶の産地として知られる徳山地区。民家の傍らに、淡い桜色の花をまとった大きなしだれ桜が立っています。

川根本町の茶畑越しに望む泉屋の桜と山里の風景

目の前に小さな茶畑がいくつかあり、春の柔らかな緑と桜の淡い色彩が、いかにも川根らしい風景をつくり出していました。集落の中にあるので、あちこち電線が走っています。

赤い新芽の生垣越しに見上げる泉屋の桜の枝と淡い花々

春になると、周囲の生け垣には鮮やかな赤い新葉が伸び、その向こうでしだれ桜が淡い花を咲かせます。古くからの商家の記憶を残しながら、今も静かな山里の春を彩っています。

愛宕地蔵の桜(お地蔵さんのしだれ桜)

かつて存在した「千年桜」

現地の案内板には、この場所の興味深い歴史が記されています。

かつてここは堀之内村の中心地で、高札場が設けられていました。高札場とは、江戸時代に幕府や領主のお触れなどを掲示した場所のことです。

そして、この地には「千年桜」と呼ばれる桜の大木があったと伝えられています。

現在のしだれ桜は、昭和46年(1971年)までこの場所にあった徳山郵便局が移設された後、地元の有志によって植えられ、現在に至るまで維持管理が続けられています。

かつての千年桜と現在のしだれ桜。

同じ場所で時代を隔てて咲いた二つの桜に、地域の人々の思いが重なっているようにも感じられます。

項目
内容
名称
愛宕地蔵の桜(あたごじぞうのさくら)
桜の種類
ベニシダレザクラ
推定樹齢
50年
オススメ度(5段階)
★★
一言
春の訪れを告げる一本桜。
例年の見頃
4月上旬
撮影日
2025年4月上旬
所在地
静岡県榛原郡川根本町徳山1203
アクセス
新東名高速
・島田金谷ICから約45分
駐車場/トイレ
駐車場無・トイレ無
その他・ライトアップ:無
参考URL
 –

愛宕地蔵堂と地域の歴史

川根本町の町指定文化財である愛宕地蔵堂の建物と解説板

桜の近くに建つ愛宕地蔵堂も、徳山地区の歴史を伝える貴重な建物です。
江戸時代後期に再建されたとされ、平成12年(2000年)11月14日に有形文化財として指定されています。

毎年7月下旬には、百万遍念仏を唱える「ナンマイダー」で知られる愛宕地蔵堂祭りも行われています。
桜が咲く公園と歴史ある地蔵堂は、今も地域の人々の暮らしと結びついています。

川根本町の公園で枝を広げ、淡い紅色の花を咲かせる愛宕地蔵のしだれ桜

愛宕地蔵堂の横の公園にしだれ桜は咲いていました。
満開にはほんの少し早い様子でしたが、青空と白い雲に映えてのどかな春日和。

飛び出し坊やの向こうに咲く愛宕地蔵のしだれ桜

飛び出し坊やも注意顔でお花見です。(笑)

桜とおばあちゃん

愛宕地蔵の桜を撮影していると、一人のおばあちゃんに声を掛けられました。

「すみません、これで写真撮って貰えませんかねぇ」

おもむろにスマホを差し出されました。

「いいですよ」

私がスマホを受け取るとおばあちゃんは、

「このスマホで私の代わりに桜を撮って欲しいんです」

旅先で写真のシャッターを頼まれることは数え切れないほどありますが、代わりに撮ってほしいというのは初めての経験でした。

訳を尋ねると、少し恥ずかしそうに、

「すぐそこに住んでいて、孫に桜の写真を送りたいんだけど、うまく撮れないの。」

なるほど。
きっと遠くに暮らすお孫さんに、きれいな桜を見せたかったのでしょう。

スマホをお借りして、構図を変えながら何枚か撮影しました。

そして、ふと思いついて、

「お孫さんに送るなら、おばあちゃんも一緒に写りましょうよ。その方がお孫さんも喜ぶと思いますよ」

最初は「いいの、いいの」と遠慮されていましたが、最後には桜と一緒に笑顔で写真に収まってくれました。

その写真がお孫さんに届いたのか、どんな会話が交わされたのかは分かりません。

そんな些細な交流が、愛宕地蔵の桜の思い出を彩りました。

奥大井湖上駅|静岡県川根本町にある桜咲く秘境駅の春爛漫は絶景
静岡県川根本町の奥大井湖上駅は、湖に浮かぶような絶景が広がる秘境駅。満開の桜と赤い橋のコントラストが美しく、バス+列車のルートで春の絶景旅を満喫。
牛代のみずめ桜|静岡県島田市家山の茶畑に凛と佇む一本桜
静岡県島田市の茶畑に凛と咲く牛代のみずめ桜。エドヒガンの一本桜として知られ、見頃は3月下旬〜4月初旬。斜面から眺める姿も素敵。