血脈桜 松前町光善寺に咲く北海道最古級の伝説を宿す一本桜

北海道松前町・光善寺の血脈桜。朝の光を受けて枝を広げる古木 桜浪漫

血脈桜

北海道松前町の光善寺には、「血脈桜(けちみゃくざくら)」と呼ばれる一本の古木があります。

松前といえば、北海道を代表する桜の名所。松前公園や寺町周辺には数多くの桜が咲き、春になると町全体が桜色に染まります。その中でも血脈桜は、光善寺の本堂前に静かに枝を広げる、松前を代表する名木のひとつです。

樹齢は約300年ともいわれ、北海道指定記念樹木にもなっている古木です。また、松前で多く見られる桜の品種「南殿(なでん)」の親木ともされ、松前の桜文化を語るうえでも欠かせない存在です。


魔物に襲われた朝でしたが、気を取り直して国道228号で松前町を目指しました。
それは松前城周辺の桜まつりや、この血脈桜を楽しむためです。

津軽海峡を左手に見ながらドライブし、松前町で300mほど内陸に入ると到着です。海から近いので国道からも天守の屋根は見えるほどです。

駐車して歩いていると桜越しの天守の屋根が見えました。

北海道松前町の松前城。満開の桜越しに天守を見上げる
北海道松前町の松前城。堀に映る城と桜の風景

こじんまりとした雰囲気の天守閣。
咲き始めた桜達とお堀の雰囲気が春の到来を色濃く映していました。

血脈桜 基本情報

項目
内容
名称
血脈桜(けちみゃくざくら)
桜の種類
マツマエハヤザキ(松前早咲)
 別名:ナデン(南殿)
推定樹齢
300年
オススメ度(5段階)
★★★★
一言
道内では最古級の桜の一本
例年の見頃
4月中旬~5月上旬
撮影日
2019年4月下旬
所在地
北海道松前郡松前町松城浄土宗 高徳山光善寺
アクセス
函館江差自動車道 木古内ICから60分
 ※函館市内から90分
駐車場/トイレ
駐車場有(1回500円)・トイレ有
その他
松前さくらまつりが開催されます
参考URL
 松前町公式観光サイト
北海道松前町の光善寺山門。境内には血脈桜がある

血脈桜がある光善寺。松前の歴史を感じる山門をくぐって境内へ。

松前町・光善寺の血脈桜。淡い桃色の花とつぼみ

淡い桃色の花を咲かせる桜。古い幹のそばで、やわらかな春の色が浮かんでいました。

光善寺の本堂前で枝を広げる血脈桜。北海道松前町の名木

光善寺の境内で大きく枝を広げる血脈桜(奥)。淡い花色と青空の対比が印象的でした。

北海道松前町・光善寺の血脈桜。標柱とともに写る古木

朝の光を受け、境内いっぱいに枝を広げる姿は、松前の春を象徴する古木。

北海道松前町の光善寺に咲く血脈桜。青空の下で枝を広げる古木

見頃には少し早い状態でしたが、北海道で桜が見られて少し興奮気味。

北海道松前町・光善寺の血脈桜。朝の光を受けて枝を広げる古木

桜越しの太陽、緑の草に延びる影が良いアクセントになっていました。

光善寺の境内に広がる血脈桜。手前には濃いピンクの花が咲く

光善寺の境内に広がる血脈桜。手前には濃いピンクの花が咲く

北海道松前町・光善寺の血脈桜に咲く淡い桃色の花

青空を背景に、春らしいやわらかな表情を見せていました。

北海道松前町・光善寺の血脈桜。古い幹の根元に石仏が佇む

血脈桜の幹元には、小さな石仏が静かに佇んでいました。長い年月を重ねた古木ならではの、深い存在感があります。

血脈桜に残る不思議な伝説

血脈桜という名前には、光善寺に伝わる不思議な伝説が関わっています。

血脈桜の伝説は、松前の鍛冶屋・柳本傳八と、その娘にまつわる話から始まります。

親子は上方へ旅に出た際、桜の名所として知られる吉野を訪れました。満開の桜に心を奪われた親子は、しばらく吉野に滞在します。その間、娘はある尼寺の尼僧と親しくなりました。

やがて松前へ帰る日が近づくと、尼僧は吉野の思い出として一本の桜の苗木を親子に託したといいます。親子はその苗木を松前へ持ち帰り、菩提寺である光善寺に寄進しました。

年月が流れ、桜は光善寺の境内で立派な大木になりました。

ところが、十八世・隠誉上人の代に、寺の改修のため、この桜を伐ることが決まったといいます。

伐採を明日に控えた夜、一人の若い女性が上人のもとを訪ねてきました。

女性は上人に向かって、
「私は明日には命が尽きる身です。どうか今夜のうちに血脈を授けてください」
と願い出ました。

夜も遅いため、上人は明日にしてはどうかと伝えます。しかし女性は、今日でなければ間に合わないと強く願います。

ただならぬ様子を見た上人は、女性の願いを聞き入れ、血脈の証を授けました。

翌朝、上人が境内に出ると、伐るはずだった桜の枝に、何かが掛かっているのを見つけます。

それは、昨夜、自分が女性に授けたはずの血脈の証でした。

上人はそこで、昨夜訪ねてきた女性が、桜を救うために現れた存在だったのだと悟ります。そして桜を伐ることをやめ、供養を行ったと伝えられています。

この出来事から、この桜は「血脈桜」と呼ばれるようになったそうです。

なお、上人のもとを訪れた女性については、桜の精だったとも、かつて苗木を松前へ持ち帰った娘・静枝の霊だったとも伝えられています。

以来、この桜は「血脈桜」と呼ばれるようになりました。


※血脈
仏教でいう「血脈」とは、お釈迦様の教え、つまり仏法が、師から弟子へ、さらにその弟子へと正しく受け継がれてきた流れ(系譜)を意味します。

血のつながりのように、教えが代々受け継がれていくことから「血脈」と呼ばれます。
また、その受け継がれてきた系譜を記したものを指すこともあります。

伝説に出てくる「血脈の証」とは、自分がその仏の教えの流れにつながったことを示す証文のようなものです。

まとめ

松前城や松前公園の華やかな桜も素晴らしいですが、光善寺の血脈桜には、一本の古木に向き合うような静かな魅力があります。松前を訪れたら、ぜひこの伝説の桜にも足を運んでみてください。

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