小岩井農場の一本桜|雫石町の有名すぎる春景色を少し横から見る

小岩井農場の一本桜と岩手山が離れて見える春の牧草地 桜浪漫

小岩井農場の一本桜

小岩井農場の一本桜は、岩手県雫石町にある岩手県を代表する春の風景です。

広い牧草地の中に一本だけ立つ桜。
その背後には、残雪をまとった岩手山がそびえています。

桜、牧草地、岩手山、空。この組み合わせがあまりにも絵になりすぎていて、写真好きでなくても一度はどこかで見たことがある風景かもしれません。

「一本桜」という名前がつく桜はいくつもありますが、その中でも小岩井農場の一本桜は、もっとも有名な存在のひとつだと思います。実際に「一本桜」と検索するだけでも、小岩井農場の一本桜はすぐに出てきます。名前も姿も、あまりに一本桜。少しずるいくらいです。

詳しい樹齢は不明のエドヒガンですが、明治40年代に暑さが苦手な牛を夏の日差しから守るための「日陰樹」として植えられたものとされています。

つまり、最初から観光名所になるために植えられた桜ではありません。牛のために植えられた一本の木が、いつの間にか多くの人を惹きつける春の名所になったわけです。牛としては「いや、日陰用なんだけど」と思っているかもしれません。

小岩井農場の一本桜 基本情報

項目
内容
名称
小岩井農場の一本桜
(こいわいのうじょうのいっぽんざくら)
桜の種類
エドヒガン
推定樹齢
不明
 ※明治40年代に植えられたと言われている
オススメ度(5段階)
★★★★
一言
誰もが一度は見たことのある牧草地に咲く桜
例年の見頃
4月下旬~5月上旬
撮影日
初回訪問 2014年6月上旬
最終訪問 2019年5月上旬
所在地
岩手県雫石町丸谷地36-1 小岩井農場内
※雫石環状線沿い
※観光エリアの「まきば園」からは2km
アクセス
東北道
・盛岡ICから約15分
駐車場/トイレ
駐車場有・トイレ無
その他
・ライトアップ:無
参考URL
 小岩井農場
春の牧草地に立つ小岩井農場の一本桜と残雪の岩手山

残雪の岩手山を背景に、牧草地の中で春を迎える小岩井農場の一本桜。誰しも一度は見たことある姿だと思います。いわゆる草原の桜、高原の桜、一本桜といえばの姿です。

木々の額縁越しに望む小岩井農場の一本桜と岩手山

木々の間から望む小岩井農場の一本桜。よく見る王道構図とは少し違う入口から眺めてみました。

少し横に動くと、一本桜と岩手山がそれぞれ主役のように見えてきます。

初夏の牧草地に立つ小岩井農場の一本桜と残雪の岩手山

6月頃の小岩井農場の一本桜。
賑やかな花の季節を過ぎ、牧草地の緑の中に静かに佇む姿が印象的です。

秋色に変わり始めた小岩井農場の一本桜と岩手山

秋の小岩井農場の一本桜。満開の華やかさとは違い、一本の木としての存在感がより際立ちます。

有名すぎる桜の人気の秘密?

小岩井農場の一本桜が人気なのは、写真としての完成度がとても高いからでもあります。

残雪の岩手山、広い牧草地、その中に立つ一本桜。
検索してみても、観光パンフレットのような王道構図か、桜を大きく写したアップの写真が多く並びます。あとは「私が行った日は最高の天気でした」という、うらやましいような、少し悔しいような記事もよく見かけます。

それだけ、この桜は“正解の景色”がわかりやすい場所なのだと思います。

普通の一本桜では、現地に行ってから「どこから撮ればいいんだろう」と迷うこともあります。背景に電線が入ったり、思ったより周囲がごちゃごちゃしていたり、桜の周りに人が多すぎたり、写真で見た印象と少し違ったりすることもあります。

その点、小岩井農場の一本桜は、見る場所がある程度決まっています。
誰かだけが根元まで近づけるわけでもなく、誰かだけが特別な角度から見られるわけでもありません。もちろん望遠レンズの有無や天気、光で写真の印象は変わります。それでも、多くの人が同じ方向から、同じ一本桜と岩手山を眺めることになります。

これは、ある意味でとても平等な景色です。

写真としては似た構図になりやすい。これは弱点にも見えます。
けれど、観光地として考えると大きな強みでもあります。現地に行けば、観光パンフレットで見たような「あの景色」がちゃんと待っている。自分のカメラにも、見覚えのある小岩井農場の一本桜を収めることができる。その安心感が、この桜の人気を支えているのだと思います。

ただ、写真を撮る側としては、そこで終わると少し悔しいものです。
有名すぎる景色だからこそ、少しでも違う見方を探したくなります。私も王道構図だけでなく、左右に大きく動いて撮ってみました。すると、一本桜と岩手山の関係が少し変わって見えてきます。

真正面から見ると、一本桜と岩手山はきれいに重なります。まさに「小岩井農場の一本桜です!」という完成された一枚です。

けれど、左右に離れてみると、桜と岩手山の間に距離が生まれます。一本桜は一本桜として立ち、岩手山は岩手山として堂々とそびえる。どちらかが主役で、どちらかが背景というより、互いに存在感を出し合っているように見えました。

一本桜 feat. 岩手山。
岩手山 feat. 一本桜。

少しふざけた言い方ですが、左右に離れて撮ってみると、案外これが本質なのかもしれません。

小岩井農場の一本桜は、桜だけで成立している風景ではありません。
岩手山だけでも、あの景色にはなりません。桜、岩手山、牧草地、空、残雪。そのすべてがそろって、はじめて“小岩井農場の一本桜”という風景になります。

有名になるものには、やはり有名になるだけの理由があります。

王道構図で「あの景色」を楽しむのも良い。少し横に動いて、一本桜と岩手山の関係を見てみるのも良い。

小岩井農場の一本桜は、見慣れたようでいて、まだ少し違う表情を探したくなる一本桜す。

小岩井農場の一本桜と岩手山が離れて見える春の牧草地