本郷の千年桜|空洞の幹に根を伸ばす山梨・南部町の古桜

春の日差しを受けて咲く本郷の千年桜

本郷の千年桜

山梨県南部町の山あい、旧妙善寺の境内に一本の古桜が立っています。
その名は「本郷の千年桜」。

大きく広げた枝には春になると淡い花が咲き、その姿だけを見ても立派な一本桜です。

本郷の千年桜 基本情報

項目
内容
名称
本郷の千年桜(ほんごうのせんねんざくら)
桜の種類
エドヒガン(シロヒガン)
推定樹齢
600年以上
オススメ度(5段階)
★★★★
一言
空洞化した幹の内部に根を伸ばす、生命力を感じる古桜
例年の見頃
3月下旬~4月上旬
撮影日
初回訪問 2016年4月上旬
最新訪問 2026年3月下旬
所在地
山梨県南巨摩郡南部町本郷3230
アクセス
中部横断道
・南部ICから約5分
駐車場/トイレ
駐車場有・トイレ有
その他・ライトアップ:無
・県指定天然記念物
参考URL
 南部町観光ページ

旧妙善寺跡に立つ「千年桜」

山梨県南部町に咲く本郷の千年桜の全景

本郷の千年桜が立つのは、山梨県南部町本郷の旧妙善寺境内です。周囲には山が迫り、春になると千年桜だけでなく、あたりの桜も一斉に色づきます。

現在、山梨県文化財データベースでは所在地を「南部町本郷3230」、所有者を同じ本郷地区にある日蓮宗の本郷寺としています。一方、南部町や山梨県公式観光情報では、桜の場所を「旧妙善寺」と案内しています。

「千年桜」でも推定樹齢は600年?

山あいの斜面に立つ本郷の千年桜と周囲の桜

「千年桜」という名前から、樹齢千年を超える桜を想像するかもしれませんが、推定樹齢は南部町では600年以上と紹介されています。

「千年じゃないじゃないか」と少し気になるところですが、「千年ザクラ」と命名したのは、県の天然記念物に指定された当時の山梨県知事・吉江勝保氏です。

おそらく「千年」は正確な樹齢を表す数字というより、長い歳月を生きる古桜を象徴する名前として名付けたのでしょう。

支柱に支えられながら空へ枝を伸ばす本郷の千年桜

青空と日差しが眩しい春のひと時。
枝を支える幾本もの支柱も、この桜が重ねてきた時間を感じさせます。

空洞の幹に伸びる2本の根

空洞化した太い幹を持つ本郷の千年桜

そして、本郷の千年桜でもっとも興味深いのが、この太い幹です。
長い年月を生きてきた幹は大きく空洞化し、表面には深い凹凸が刻まれています。

しかし、この桜にはさらに不思議な特徴があります。
山梨県の文化財資料によると、地上約5メートルの位置から2本の根を地中へ下ろしているとされています。

実際に幹を間近で見ると、荒れた古い幹の内側を、太い筋のようなものが縦方向へ伸びています。

長い年月の中で根も太く成長し、幹と複雑に重なっているため、外から見ただけでは、どこまでが古い幹で、どこからが根なのか簡単には判別できません。

通常なら地面の下へ伸びる根。
その根を、老いて空洞となった自らの幹の中に伸ばし、再び地面へとつないでいる。
まるで、古くなった体の内側にもう一つの生命線を作ったようにも見えます。

まとめ

苔に覆われた本郷の千年桜の根元と散った花びら

足元へ目を落とすと、太い幹には苔が付き、その周囲には咲き終えた花びらが散っていました。この場所で何百回もの春を迎え、花を咲かせ、散らしてきたことでしょう。

ここは何度となく訪れている好きな桜の一つ。
山の中腹に佇み、開放感とのどかさの両方を感じることができます。

最初に訪れた時は、人影もポツリポツリという感じでしたが、近年では絶えず見物客がやって来るようになり、以前よりも賑わいを感じます。

本郷の千年桜で見てほしいのは、千年という数字よりも、長い年月を生き抜いてきた生命力が刻む姿なのかもしれません。

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