中曽根のエドヒガン(権現桜)
長野県箕輪町の中曽根地区に立つ「中曽根のエドヒガン」は、推定樹齢約1000年と伝わる桜の巨木です。
古桜と聞くと、山あいの寺社や田畑、山里の中に立つ姿を思い浮かべますが、この桜があるのは家々が集まる住宅地の中。中曽根公民館のすぐ北側にあり、細い道を進んだ先で大きな枝を広げています。
根元に権現様を祀る祝殿があることから、地元では「権現桜」の名で親しまれてきました。桜そのものの姿だけでなく、土地の人々の暮らしや信仰とともに年月を重ねてきたことも、この桜の大きな魅力です。
※祝殿(いわいでん/いわいどの)
同族や特定の血縁・仲間内だけで祀る同族神、あるいはその祠のことをいいます。
中曽根のエドヒガン(権現桜) 基本情報
項目 | 内容 |
|---|---|
名称 | 中曽根のエドヒガン(権現桜) (なかぞねのえどひがん ごんげんざくら) |
桜の種類 | エドヒガン |
| 推定樹齢 | 1,000年 |
オススメ度(5段階) | ★★★★ |
一言 | 民家の裏に現れる巨木、根元には権現様が祀られている。 |
例年の見頃 | 4月上旬~4月中旬 |
撮影日 | 2021年4月上旬 |
所在地 | 長野県上伊那郡箕輪町中曽根293 |
アクセス | 中央道 ・伊北ICから約15分 ・伊那ICから約20分 |
駐車場/トイレ | 駐車場有・トイレ有 |
| その他 | ・ライトアップ:有 時間:日没~21:00 ・県指定天然記念物 |
参考URL | 箕輪organic-days |

私が訪れた時は、まだ先始めで満開までには数日はかかりそうな時でしたが、その分幹の太さがはっきりとし想像以上に左右へ伸びる枝の広がりに圧倒されました。
右側には、小さい鳥居と祠が見えます。

空の青と桜の薄紅、水仙の黄色に春ののどかさを色で感じることができました。

東西に分かれた枝では、花の色合いがわずかに異なるともいわれていて。こうやって写真で見ても太い幹の方が濃く、細い方の幹が薄いように見えます。
陽射しの加減かもしれませんが。(笑)
一本の桜でありながら、見る方向によって少し違った表情を楽しめるのも特徴です。

桜のそばには、ある人物の功績をたたえた頌徳碑も立っています。祝殿や頌徳碑とともに残る姿からは、この桜が人々の暮らしの中で長く大切にされてきたことが伝わってきました。
※頌徳碑(しょうとくひ)とは、ある人物や団体が残した功績や徳をたたえ、それを後世に伝えるために建てられた石碑のことをいいます。

中曽根のエドヒガンには、武将が植えた、誰かが杖を挿したといった派手な伝説は見当たりません。
その代わり、集落の中心近くで人々の暮らしを見つめながら、静かに年月を重ねてきました。
風景の中にぽつんと残された桜というより、昔から集落の一員としてそこにいる桜。
現在は家々が点在する中に佇む姿になっていますが、おそらく桜にとっては、人間のほうが後から周囲に増えてきたのでしょう。千年も同じ場所にいれば、いつの間にか住宅や人の営みに囲まれていたとしても、桜からすれば「最近、ずいぶんにぎやかになったな」くらいの感覚なのかもしれません。
人と桜の距離が近い。なんだかそんなふうに感じる巨木でありました。



